
昨日、ナイジェリアのパートナー企業であるACCI(Abuja Chamber of Commerce and Industry)に、一通のメールを送りました。内容は「ナイジェリア進出の延期」です。3月に約束した時期を守れず、新たな固定日も示せない。経営者として、この判断がどれほど重いものか、痛感しています。しかし同時に、これが「正しい判断」であるとも確信しています。本日は、その理由をお伝えします。
🌍 ナイジェリアという大きな可能性
私たちは昨年より、ナイジェリア市場への進出を視野に入れ、現地の商工会議所であるACCIとのパートナーシップを構築しています。ナイジェリアは、アフリカ最大の経済規模を持ち、製造業の海外展開ニーズが急速に高まっている市場です。ACCIは現地の中小企業を支援する信頼できる組織であり、私たちにとって理想的なパートナーでした。
KiAIのプロダクトが、日本だけでなくナイジェリアのような新興市場でも価値を発揮できる。その可能性に、私たちは今も強く期待しています。この期待は、時間が経つにつれて薄れるどころか、むしろ強くなっています。
🎯 「PMFを取るまで動かない」という戦略判断
しかし、現実は厳しいものでした。私たちは4月に日本でベータ版をリリースしましたが、顧客フィードバックを反映し、真に求められるプロダクトへと進化させるプロセスには、予想以上の時間がかかっています。当初の計画では、日本でのPMF(Product-Market Fit)達成に向けた道筋がもっと短期間で見えてきて、その後ナイジェリアに展開する予定でした。
ここで、スタートアップとしての重要な選択を迫られます。「完璧なプロダクトができるまで待つ」のではありません。そうではなく、「どの市場で、どの順序で、PMFを取りにいくか」という戦略判断です。
私たちが下した結論は、「日本でのPMFを最優先する」というものでした。理由は明確です。日本は私たちが最も深く顧客と対話でき、最も速くフィードバックループを回せる市場です。ここでPMFを達成できなければ、ナイジェリアでも同じ課題に直面するでしょう。逆に、日本でPMFを達成すれば、そこで得た学びと確信を持って、ナイジェリア市場に真の価値を届けることができます。
複数市場で同時にPMFを追うことは、スタートアップにとって最もリスクの高い選択だと考えています。リソースが分散し、どの市場でも中途半端な結果に終わる。私たちは、その誘惑に負けない判断をしました。
🤝 誠実さが、長期的な信頼を築く
私はACCIに対し、正直に現状を伝えました。「日本でのプロダクトの安定化を優先すべきだと判断した」「新たな固定日を約束できない」「しかし、ナイジェリアへの期待は変わらない」。このメールを送ることは、簡単ではありませんでした。約束を守れなかった自分を認めることは、痛みを伴います。
しかし、ACCIからの返信は、私の予想を超えるものでした。「私たちも、準備が整っていないプロダクトを会員企業に提供したくはありません。進捗を継続的に共有してください。信頼しています」。この言葉に、私は深く救われました。そして、改めて確信しました。誠実さこそが、長期的なパートナーシップの基盤であると。
📍 今、私たちがすべきこと
ナイジェリア進出は延期されましたが、私たちの方向性は明確です。まずは日本市場で、PMFを達成すること。顧客企業様が「これは本当に使える」と確信し、継続利用してくださるレベルまで、プロダクトを進化させ続けること。そして、その学びと確信を持って、ナイジェリアに向かうこと。
ACCIには、定期的に進捗を報告し続けます。いつか、「日本でのプロダクト展開の安定化を達成しました。次はナイジェリアです」と胸を張って言える日が来るまで。その日まで、私たちは誠実に、着実に、前進し続けます。
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